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- ​会長挨拶 -

・一人一人の心が平和の出発点

 2026年現在、世界は複数の大規模な戦争や紛争が同時進行する複合的危機の様相を呈しています。特に、中東情勢の急激な悪化や長期化する戦争により、国際秩序の不安定化と世界的な経済リスクが高まってきており、ニュースから流れる世界情勢の厳しい現実に、心が痛む毎日が続いています。そんな時代だからこそ、私たちは「心に平和の砦」をもつ必要があります。世界がどれほど揺れ動いても、流されることなく、自分の軸を見失わないための砦です。「誰かが社会をよくしてくれるだろう」という思い込みを手放し、平和な社会は私たち自身の選択と行動の先にしか存在しません。家庭で、職場で、地域で、私たちが放つ小さな優しさや寛容さが、巡り巡って、社会の空気を作っていきます。社会を創るのは、政治や制度だけでなく、私たちの「生き方」そのものです。
 時に、非常に厳しく、先行きが見通せない世界情勢の中にあって、日々流れる事件やニュースに、無力感を覚える瞬間もあるかもしれません。しかし、こうした不透明な時代だからこそ、私たちは今一度、人間の心に深く根ざした「平和」という理念を、強く、明確に思い起こす必要があります。平和は誰かが与えてくれるのを待つものではなく、私たち一人一人の心の中から始まり、日々の行動によってカタチづくられていきます。今年度、我が国はユネスコ加盟75周年の歴史の転換点にあり、この混迷な時代を切り拓き、確かな未来を築くための3つの行動を提唱しています。


 1つ目は、平和を求める声を、より広く、より大きく発信していくこと。一人の声は小さいと諦めてしまっては、社会は変わりません。私たちが平和を希求する思い、対話を重んじる姿勢を言葉にして、発信し続けること。その小さな波紋が集まれば、大きなうねりとなります。沈黙するのでなく、国内外に響かせていきたいものです。
 2つ目は、教育を通して、平和の根を次の世代に引き継いでいくこと。平和は一日にして成らず。未来を創るのは子どもたちです。他者を思いやる心、多様性を認め合う寛容さ、そして対話によって課題を解決する知恵。これらを教育の場を通じて育むことこそが、最も確実で、最も揺るぎない平和の基盤となります。次の世代が、憎しみでなく、「共感」の土壌で育つよう、学校や家庭、地域の場で実践していかなければなりません。教育こそが、持続可能な平和の最も確かな礎です。 
 3つ目は、草の根の連帯を国内外に広げ、世界の人々と共に歩んでいくこと。国境や文化、言語の壁を越え、市民一人一人が人間として手を取り合うことです。この「草の根のつながり」こそが、いかなる対立にも引き裂かれない強固な絆となります。遠く離れた地に暮らす人々の痛みに寄り添い、喜びを分かち合い、共に歩む伴走者として、私たちの連帯の輪を世界に広げていきたいものです。

 世界を一度に変えることは難しくても、私たちの行動を変えることは今すぐにでも可能です。①声をあげること、②次世代を育てること、③手をつなぐこと、この3つの行動を私たち自身の手で始めるために、「SDGsパスポート体験発表会」、「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展」、「平和の鐘を鳴らそう in 長泉寺」、「岡山ユネスコフェスティバル」など、様々なユネスコ活動を展開していきます。そして2026年度は新たに、「世界とつながる『多文化共生』スタディ・カフェ2026」を年3回開催いたします。様々な国の人との対話を重ね、一人一人の心にある平和の灯りを分かち合い、多文化共生の輪を広げていく、その一歩の小さな積み重ねが、確かな未来を築く揺るぎない土台となります。これからも、一人一人が平和の担い手となり、それぞれの心に根ざした平和の灯りを、大きく、強くしていきたいものです。             

           
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2026年6月16日            岡山ユネスコ協会            会長 徳山 順子

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